- アンヴァンテール
私のエッフェル塔。
ナシオンからエトワールを結ぶ6番線メトロは、セーヌ、バスチーユ、モンパルナスを横切り、地上と地下を行き来しては高架線をガタゴトと走り、地上の流れるパリの景色にわくわくとした気分になる、一番好きなメトロ線です。ラ・モット=ピケ=グルネルからデュプレクス、そして、ビラケムで突如現れる、大きなエッフェル塔の姿を初めて見た時のことを、私はずっと忘れないと思う。エッフェル塔はとても美しかった。何よりビラケムでエッフェル塔が見えるということを事前に全く知らなかったので、突然の出現に本当に吃驚してしまったのです。エッフェル塔嫌いで有名な作家モーパッサンは、19世紀終わり頃のその当時、パリで唯一その姿を見なくて済むからと、エッフェル塔の中のレストランで食事していたという逸話があるけれど、後々、案外好きになったのじゃないかななんて思っている。あの日以来、パリを歩いているときに、ふとエッフェル塔が遠くに見えると、何か良いことがありそう!と心浮き立つ、私にとってのポルト・ボヌールになったのでした。

エッフェル塔が可愛いパリのカフェにて。